監査請求の要旨

Posted by 管理人 on 12月 03, 2012
お知らせ

12月3日、人間・環境学研究科教員21名は、国立大学法人京都大学の江島義道監事に対し、「国際高等教育院」構想の手続き上の問題点について報告し、監査を請求いたしました。監査請求の概要については、以下の文章をご覧下さい。


「国際高等教育院」構想における手続き上の問題点:
人間・環境学研究科教員による監査請求要旨

 

「国際高等教育院」構想には、その内容上の問題点とは別に、見過ごすことのできない手続き上の問題点があります。11月26日の総長メール(2回目)においては、11月20日の「大学改革特別委員会」に提案されていない「教育院」構想の改編案が突如示されました。つまり、これまで一度も提示されたことのない全く新たな改編案が、特別委員会の決議も経ずに大学全教員に送付されたのです。これは、学内規程が不明なまま(下記「5」を参照)自ら設置した特別委員会さえも無視した極めて不適切な行為です。このようなことが許容されたなら、次にまたどのような形で一方的な改編案が提示されるかわかりません。加えて、このメールには、11月20日の大学改革特別委員会で決議できなかった「国際高等教育院」構想が「了承され」たという、事実に反する記述まで見られます。

9月20日の総長メール(1回目)にも、同様の手続き上の問題点が含まれていました。以下において、その主たる点を指摘したいと思います。(以下に述べる「参考資料」は、9月20日の総長メールに添付された「別紙」記載のものです。)

1 参考資料1およびは2009年11月に設置された「学士課程における教養・共通教育検討会」、同「作業部会」による報告書ですが、これは京都大学規程になんら定めのない検討会です。全学共通教育についての重要事項の検討は、「京都大学における全学共通教育の実施に関する規程」(全34条、以下「規程」)第5条・第6条に定めるように、本来「全学共通教育委員会」(委員長は高等教育研究開発推進機構長)が行うべきものですから、これらの報告書は上記「規程」に抵触しています。

2 しかも、上記「検討会」は文・法・理・医・工の各学部長と理事2名、「作業部会」は文・法・理・医・工の各学部教授によって構成されており、そこに全学共通教育の最大の当事者である総合人間学部と他学部(教育・経済・薬・農)の長は含まれていません。これは「規程」が全研究科長の参画する委員会で議論する旨定めている以上、誠に不適切です。

3 2011年12月設置の「全学共通教育実施体制等特別委員会」は、同委員会要項(全9条)条文に上記「規程」との関係を明記しないで設けられ、共通教育に関して検討する二つの組織――上記「規程」による「全学共通教育委員会」とこの「特別委員会」――を学内に重複して作り出しました。国立大学時代の規程が有効である以上、この措置は不適切です。

4 上記「全学共通教育実施体制等特別委員会」は、委員会内で教員移籍による「国際高等教育院」構想が了承されたわけではないにもかかわらず、7月2日付委員会報告(案)において「設置が望ましい」とし、7月10日に部局長会議に行った報告では「設置する」と断定しています。これはきわめて不適切です。

5 2012年6月以後、「国際高等教育院」構想の検討は「大学改革特別委員会」に移されましたが、この委員会については学内規程が不明です。

以上の問題点に加え、上記「大学改革特別委員会」での検討は、共通教育の理念の議論は一切なく、教員移籍の数値的な操作と組織図の提案の場となりました。この人員移動は人間・環境学研究科・総合人間学部を解体する恐れが強いため、人間・環境学研究科教授会は9月27日、人間・環境学研究科研究科会議は11月8日、「国際高等教育院」構想に対し反対決議をし、「Core Unit 21」を全学に提案しました。しかしながら、これに対する公式の返答はありません。これは、京都大学の『基本理念』に述べられた「京都大学は、学問の自由な発展に資するため、教育研究組織の自治を尊重するとともに、全学的な調和をめざす」という理念と照らし合わせて、きわめて不適切な行為だと考えられます。

したがって、不適当な検討方法による同構想の白紙撤回と、学内規程に基づく正規な方法による共通教育の検討の再出発を求めます。


Share on Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加

3 Comments to 監査請求の要旨

コメントを残す