「国際高等教育院」構想に関係する学内資料の一覧です (太字は、とくに同構想に直接に関係するもの)。
人間・環境学研究科が作成した資料
- 教養教育に関する人間・環境学研究科・文系群会の考え (2004年8月 教養教育専門委員会)
- 全学共通教育の更なる充実に向けての人間・環境学研究科の基本姿勢 (2012年9月 人間・環境学研究科教授会)[学内限定]
- 京都大学 教養教育機構 基幹ユニット構想(CU21)
京都大学ホームページに掲載されている資料
- 松本総長から全教員へのメール (2012/9/12)
- 上記メールの別紙 「これまでの検討の経緯」
- 参考資料1 「京都大学の学士課程における教養・共通教育の理念について」 (2010/3/29)
- 参考資料2 「学士課程における教養・共通教育検討会検討報告書」 (2010/9/30)
- 参考資料3 「全学共通教育システム検討小委員会議論のまとめ」 (2011/9/21)
- 参考資料4 「平成 25 年度以降の全学共通科目の科目設計等について(報告)」 (2012/6/8)
- 参考資料5 「全学共通教育実施体制等特別委員会報告」 (2012/7/4)
- 参考資料6 「国際高等教育院(仮称)設置のための基本方針」 (2012/7/24)
- 参考資料7 教育院の内容についての総長からの紹介 (スライド) (2012/9/12 全学教育シンポジウム)
総長メールとともに公開された参考資料1〜7についてのコメント
2012年11月24日
人間・環境学研究科・総合人間学部の教員有志
(コメントの全文はComments_to_President’s_Mail.pdfをご覧ください)
■概評
総長メールに添付された参考資料を概観すると分かることは、資料1から資料4までは、なんら現行高等教育研究開発推進機構の機能不全を立証するものではなく、部局長らが集まってまとめた2010年度の教養共通教育科目の改善提案(参考資料1と同2)も、機構を中心とした全学組織において検討し改善しうることを示している。しかも、高等教育研究開発推進機構の全学共通教育システム委員会の提案した改善策(参考資料3と同4)は、現に今年度進行しているのである。
したがって、教養・共通教育を企画執行するための専従教員からなる「国際高等教育院」構想(以下「教育院」)は、参考資料5(2012年7月)から同7が9月の総長メールによって初めて京都大学教員一般の目に触れ知られたが、それをわずか2ヶ月で決定しようという暴挙なのである。
同構想は、2011年12月に部局長会議の下に設置された全学共通教育実施体制等特別委員会の席上、教員の配置転換案とともに提示されたとはいえ、いくつかの選択肢のひとつであり、2012年6月12日の第5回委員会においても、別案とともに報告され未決定であった。
同構想が「教育院」を「高等教育研究開発推進機構」に替える理由として主張するのは、「現在の共通教育の企画は高等教育研究開発推進機構、教育の実施は実施責任部局」という二元に分かれているものを一元に改める、というものだが、これは現状の認識を全く誤っている。
2003年に発足した高等教育研究開発推進機構の機構長は、共通教育実施責任部局である総合人間学部や理学部の教員がかつて交替で務めており、ほとんど常に副機構長は人間・環境学研究科・総合人間学部の教員である。同機構の全学共通教育システム委員会は、関係部局の教員と共通教育を担当する部局の教員が参集している全学組織であることを考えれば、現状においてすでに二元ではないのである。
その上、「教育院」構想は、特別委員会の席上配付される資料においても、次から次に朝令暮改の如く内容が転変している。11月20日に配付されたものの審議に至らなかった最終版の構想案では、人間・環境学研究科が提案している「Core Unit 21」を模倣するまでにいたった。すなわち、人員の配置転換を除けば、現行高等教育研究開発推進機構の改編で十分対応できるところまでになっている(*1)。
あくまで構想がこだわるのは、共通教育の内容の改善ではなく、人員配置の異動でしかない。「教育院」では、さまざまな立場の教員、すなわち差別が生まれる。専従教員、関係部局からの移籍教員、兼担教員、学内非常勤教員、かつては非正規雇用教員や退職教員の再雇用まで想定していた。この部局に教授会が置かれるかも定かでない。総長のリコール制度もない国立大学法人法下の大学に、自治権を欠いた組織を増殖させようとしているかのようだ。現に、高等教育研究開発推進機構に雇用されている教員には教授会がない。
人的配置においていえば、1991年大学設置基準の大綱化の時点で教養部から異動が生じた人員(34人)とは、元来旧教養部が他部局から借りていたポストであり、当該部局の教員ポストに共通教育の担当付きで戻されたものである。それを再び集め直すとは、教養部復活以外の何ものでもない。4年(6年)一貫学士教育と大学院大学となった京都 大学の直近の20年の歴史を無視した暴挙と呼ぶ以外の何ものでもない。
京都大学らしい共通教育とは、大学院大学化した部局の教員が、大学院部局で展開する高度な教育・研究に基づく共通教育を兼担もしくは兼職で担当する姿に求めるべきであり、時代のニーズへの対応も、そのなかから構想し試みるべきなのである。
共通教育の丁寧なガイダンスは参考資料1や2が報告するように、時代が要請する各部局の責務であるが、別記参考資料1のコメントに付記したように、総合人間学部が先行的に実践しているものが一例である。
注記
*1 同特別委員会の議事は公開されていないが、11月20日の特別委員会は、総長の「教育院」構想を可決できなかった。総長は、12月4日の部局長会議で押し切る予定という。
卒業生ですが、動向を注視しています。
youtubeなどで先生方の演説も拝見しました。
冨田先生が対案として「CU(Core Unit)21」構想を出されたとうかがっていますが、それは公開されないのでしょうか。
全学的な議論を呼び起こすためには重要な資料だと思うのですが。
ご意見ありがとうございました。
CU21構想の資料も、このページに掲載しました。
全学的な議論の資料としていただければ幸いです。
総人・人環公式トップページに掲載されている、
【重要】「全学共通教育の更なる充実に向けての人間・環境学研究科の基本姿勢 (平成24年9月 人間・環境学研究科教授会)」
のPDFファイルはいまだ学内限定のままなのでしょうか。学外者にたいして内向きな印象を与えるので、よろしくないように思います。このようなサイトまで立ち上がったのですから、PDFファイルを一般に公表し、広く学外者・卒業生からの支持をお願いしても良いのではないでしょうか。
当サイト管理人です。
お尋ねの件、リプライが遅くなり申し訳ありません。
「全学共通教育の更なる充実に向けての人間・環境学研究科の基本姿勢」は、人間・環境学研究科ホームページ上の学内限定ページへのリンクとなっています。
そのため、現時点では学外からはご覧いただくことができません。申し訳ありません。
この文書につきましては、人間・環境学研究科にて、学外公開に向けて検討中であり、公開され次第、学外からもご覧いただけるようになります。
どうぞご了解くださいますよう、お願いいたします。
[…] これに対して、人環の先生方から反対表明が出されています。この計画があまりに性急に進められていること、松本紘総長から教員・学生にたいしてほとんど何の説明もなく、一方的に […]